薬機法の広告規制|3要件・NG表現・違反事例・チェックリスト【2025年版】
薬機法の「広告」は、①顧客誘引の意図、②特定商品の明示、③不特定多数が認知できる状態——の3要件を同時に満たす表示。媒体を問わず医薬品等適正広告基準が適用。虚偽・誇大には行政処分や売上4.5%の課徴金等のリスク。社内の審査体制と運用ログが必須。
1. 広告の定義と3要件(早見表・判定フロー)
3要件(満たすと広告)
| 要件 | 端的な定義 | 該当しやすい例 | よくある誤解 |
|---|---|---|---|
| 誘引性 | 申込・購入・受診等へ誘導する意図がある | CTA/価格/問い合わせ導線/クーポン | 「情報提供目的」と書けば免れるわけではない |
| 特定性 | 商品・施設・企業が特定できる | 商品名・販売名・施設名・連絡先・画像だけで特定 | 画像/連絡先のみでも特定できれば該当 |
| 一般性 | 不特定多数が認知できる状態 | Web公開、SNS、店頭POP、記事広告、メルマガ | 会員限定でも一般アクセス可能なら該当し得る |
判定フロー(文字版)
誘引性→特定性→一般性の順にYesが3つ並んだら薬機法上の広告として扱い、以降の基準に従って表現を精査。
2. 医薬品等適正広告基準の要点(NG/OK例)
- 承認外効能の暗示は禁止
- NG:「飲むだけで○○が治る」
- OK:承認された効能効果の範囲・用法用量を正確表示
- 専門家・学会推奨の表現は厳格に
- NG:「医師が効果を保証」「○○学会お墨付き」
- OK:資格・役割の事実表示のみ(効能保証に読めない配慮)
- 体験談・Before/Afterの扱い
- NG:効果・安全性の裏付けとしての体験談やB/Aの強調
- 条件付OK:使用感等の限定的記述(誤認誘導の排除が前提)
- No.1・唯一・比較優良はエビデンス必須
- NG:根拠不明の優位主張、他社誹謗
- OK:検証可能な客観データを条件・期間・母集団まで明示
- 名称表示
- NG:承認販売名と異なる愛称のみの使用(医薬品)
- OK:要件を満たす販売名の明示(必要に応じて併記)
判断は形式ではなく実質。媒体横断で同じ基準がかかります。
3. 関連法の接続(線引きのコツ)
- 薬機法:効能効果・性能の虚偽誇大を禁止(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器等)。
- 景品表示法:優良・有利誤認、ステマ規制(事業者の表示を隠す行為)等を禁止。
- 健康増進法:健康食品等の健康保持増進効果の虚偽誇大表示を規制。
- 医療法(医療広告):医療機関の広告は広告可能事項に限定。体験談・B/A・比較優良は原則不可。
4. 媒体別の注意点(LP/記事広告/SNS/インフルエンサー/アフィリ)
- LP・記事広告:記事体裁でも3要件を満たせば広告。PR明示と根拠表示を徹底。
- SNS・インフルエンサー:広告主が内容決定に関与すれば事業者の表示=広告。PR表記を明確に。
- アフィリエイト:広告主が素材や訴求に関与する場合は誤認表示・根拠齟齬・ログ欠落に注意。
- 医療機関Web/SNS:医療法ガイドラインで広告可能事項に限定。B/A・体験談は原則不可。
5. よくあるNG→言い換え(ミニ辞書)
化粧品
- NG:「シミが消える」「毛が生える」
- 言い換え:「肌にうるおいを与える」「ハリを与える」等、効能範囲の用語に限定
健康食品
- NG:「飲むだけで痩せる/○日で-○kg」
- 言い換え:「食生活の乱れを補助」「適切な食事管理とともに」など、効果保証を避けた補助表現
医療機器
- NG:「業界唯一」「確実に効く」
- 言い換え:「自社試験条件下で○○の測定精度を確認(試験条件・母集団・期間を明示)」
6. 違反事例の“型”で学ぶ(抽象化)
- 型A:効能の誇大…承認範囲超え/データ不適合 → 表現を承認範囲へ縮退、根拠の表示対応を確認
- 型B:体験談・B/A依存…個別事例で効果保証に読める → 使用感レベルに留め、注意書きで誤認回避
- 型C:No.1乱用…根拠未提示/条件不明 → 指標・期間・調査主体・母集団を併記し検証可能化
- 型D:ステマ…事業者関与を隠した表示 → PR明示、制作過程の関与ログを保管
7. 罰則・課徴金・実務体制
- 課徴金制度:違反対象商品の売上合計×4.5%(下限額あり)。
- 行政措置:措置命令/改善命令/業務停止/許可取消等。
- 実務体制(最小構成)
役割:最終責任者(法務/薬事)、広告審査WG、申請者(現場)
流れ:3要件判定 → 基準チェック → 根拠レビュー(ヒトデータ優先) → ステマ表記確認 → 承認ログ保管
運用:四半期の教育/アップデート、抜き取り監査、公開後のモニタリング(SNS/アフィリ含む)
8. クイック自己診断(15項チェック)
- 3要件に該当する表示か
- 承認外効能の暗示がない
- 専門家推奨で効果保証に読めない
- 体験談・B/Aが裏付けになっていない
- No.1/唯一等に根拠と条件を併記
- 根拠は表示内容と対応(指標・母集団・期間)
- 注意事項・用法用量は適正
- 医療機関は広告可能事項内
- PR・広告の明示(ステマ回避)
- 価格・比較の出典/期間/母集団を明示
- 画像・動画が効能保証になっていない
- 販売名など名称表示は適正
- 他社誹謗・過度な優越表現なし
- 変更履歴/承認ログを保管
- 媒体別ガイドに照合済み