Gmail・カレンダー・スプレッドシートで作る顧客管理|専用CRMなしで追客漏れを防ぐ方法 – ファネルAi
イベント お役立ち お知らせ
詳しく知る デモを予約

Gmail・カレンダー・スプレッドシートで作る顧客管理|専用CRMなしで追客漏れを防ぐ方法

「ちゃんとした顧客管理ツールを入れるほどじゃない。でも、スプレッドシートの顧客一覧は誰も更新しないし、メールと予定がバラバラで追客が漏れる」——こんな状態、心当たりありませんか。

この記事では、Google Workspaceだけで”破綻しにくい顧客管理”を組み直す方法を解説します。いきなり完璧なCRMを目指すのではなく、まずは「誰と、いつ、何を話したか」「次にやるべきこと」「抜け漏れに気づける仕組み」の3つが自然に回る状態を作るのがゴールです。


なぜGmail・カレンダー・スプレッドシートから始めるべきなのか

顧客管理が壊れる本当の原因

顧客管理がうまくいかない最大の理由は、ツールの性能ではありません。“入力する設計”そのものに問題があるケースがほとんどです。

営業やカスタマーサクセスの担当者が忙しくなるほど、入力作業は後回しになります。そうしているうちに、「最新がどれか分からない表」が出来上がり、結局誰も信用しなくなる。これが典型的な崩壊パターンです。

GmailとGoogleカレンダーを起点にする強み

一方で、GmailとGoogleカレンダーは日々の仕事で必ず使うツールです。ここを起点にすれば「わざわざ入力しなくても記録が残る」導線が作れます。スプレッドシートは、運用ルールさえ守れば”見える化の台帳”として十分に機能します。

ただし、Google Workspaceだけでの顧客管理は万能ではありません。この記事では、できること・やるべきでないことも含めて、現実的な設計に落とし込んでいきます。


この記事が役立つ人

次のどれかに当てはまるなら、かなり効果があるはずです。

顧客情報がスプレッドシートにあるものの、更新されない・重複する・検索できない状態になっている。メールでやりとりしているのに活動履歴が残らず、担当者が変わると引き継ぎで詰まる。商談後や見積送付後の「次アクション」が曖昧になって追客漏れが起きる。CRMやSFA(営業支援システム)を検討しているが、そもそも運用が回るか不安——こうした課題を抱えている方には、この記事の内容がそのまま使えます。


顧客管理の基本構造:台帳・ログ・未完了の3点セット

シンプルに考える:必要なのは3つだけ

Google Workspaceで顧客管理を作るなら、最初に構造を決めてしまいましょう。必要なのは、この3つだけです。

台帳:顧客の”正”を1か所に置く

顧客情報の正解(正本)は、スプレッドシートの「顧客マスタ」に集約します。ここがブレると、すべてが壊れます。複数のファイルに顧客情報が散らばっている状態は、顧客管理をしていないのと同じです。

ログ:メールと予定を”活動履歴”として残す

活動履歴が残らない顧客管理は、長期的に必ず属人化します。誰がいつ何を話したかが分からなければ、担当者が変わった瞬間に顧客との関係がリセットされてしまいます。GmailとGoogleカレンダーを「ログの原本」と位置づけ、必要最低限の情報だけを台帳に紐づける設計にします。

未完了:要対応を可視化する

顧客管理の価値は「一覧があること」ではなく「次に何をするかが分かること」です。要対応・待ち・保留といったステータスを明確にして、見落とさない仕組みを作ります。


全体アーキテクチャ:Google Workspaceで作る軽量CRMの構成

各ツールの役割を明確にする

構成はシンプルにします。

Gmailはやりとりの原本(履歴・証跡)として使います。Googleカレンダーは接点(商談・定例・期限)の原本です。Googleスプレッドシートは台帳として、名寄せ・ステータス・担当・次アクションを管理します。必要に応じてGoogleドライブで見積書・提案書・議事メモを保管し、余裕が出てきたら**Google Apps Script(GAS)**などでログ連携や通知を自動化する、という流れです。

スプレッドシートの役割を絞る

ここで大事なのは、「全部をスプレッドシートに書かない」ことです。スプレッドシートは”情報の集約場所”ではなく、”紐づけと判断のための台帳”として使います。メールの内容や会議の詳細をすべてスプレッドシートに転記しようとすると、更新が追いつかなくなり、結局破綻します。


最初に決めるべき5つの設計ルール

ツール設定より先に、運用ルールを固める

ツールの設定を始める前に、運用ルールを決めます。ここを曖昧にすると、後で作り直しになります。

1. 会社と個人のどちらを主語にするか

BtoBビジネスなら、基本は「会社(企業)」を主語にするのが安定します。担当者が異動や退職で変わっても、会社単位で追跡できるからです。ただし、採用やパートナー開拓など「個人」が主語になる業務もあります。両方が混在する場合は、最初から分けて管理する設計にしておきましょう。

2. 同一人物判定の最小ルールを固定する

名寄せ(重複統合)のルールが崩れると、顧客管理は実質的に終わりです。完璧なルールは不要ですが、最小限のルールは確定させておく必要があります。

個人の識別にはメールアドレスを最優先のキーにします。会社の識別にはドメイン(例:@company.co.jp)を準キーとして扱います。フリーメール利用者、代理店経由の連絡、グループ会社の扱いなどの例外は、「例外集」として明文化しておくと後で揉めません。

3. ステータスは「行動が変わる粒度」までに留める

ステータスを細かく作りすぎると、更新されなくなります。「このステータスだと、次にやることは何?」という問いに答えられる粒度までに留めるのがコツです。ステータスが変わっても次のアクションが同じなら、そのステータス分けには意味がありません。

4. 次アクションは必ず1つに絞る

次アクションが複数あると、結局どれもやられません。主タスクを1つに絞り、期限を持たせます。「電話して、メールも送って、資料も準備する」ではなく、「まず電話する(○月○日まで)」と決めてしまう方が、実際に動きます。

5. 更新責任者を決める

全員が編集できる表は、必ず荒れます。最低限、「誰が更新するか」を決めてください。更新者が複数いても構いませんが、責任者は1人に絞ります。「みんなで更新しよう」は「誰も更新しない」と同義だと思っておいた方がいいでしょう。


スプレッドシート設計:最初は3シートで始める

いきなり完璧なデータベースを目指さない

最初から万能なデータベースを作ろうとすると、運用に定着しません。まずは3枚のシートで始めて、必要に応じて拡張していく方が現実的です。

顧客マスタ(Companies / Contacts)

顧客マスタには”正”の情報だけを置きます。ここに履歴を書き始めると、シートが肥大化して手に負えなくなります。

BtoBを想定した場合、項目としては会社名(正式)、会社名(表記ゆれ統一用)、ドメイン、担当者名、担当者メール、電話(任意)、社内担当者、関係ステータス(見込み・商談中・契約中・休眠など)、最終接点日、次アクション(1つだけ)、次アクション期限、メモ(短文のみ)あたりがあれば十分です。

案件シート(Deals)

案件管理は顧客マスタから分離します。顧客マスタに案件情報を混ぜると、列が増え続けて収拾がつかなくなります。

案件名、会社ID(顧客マスタへの参照)、金額レンジ(ざっくりで構いません)、フェーズ(提案中・見積中・稟議中・受注など)、次アクションと期限、関連メール検索キー(後述)といった項目を用意します。

活動ログ(Activities)

活動ログのシートを作る場合も、ここに”全部”を書こうとしないことが重要です。人が手入力する活動ログは、ほぼ続きません。最初は「重要な会議」や「意思決定が動いた接点」だけを手入力すれば十分です。

日付、種別(メール・商談・電話・訪問)、会社ID・案件ID、要点(1〜2行)、次アクション(案件シートに転記してもOK)という程度の項目で始めます。


Gmail設計:「検索できる状態」を作る

探せなければ、存在しないのと同じ

Gmailには膨大な顧客とのやりとりが眠っています。しかし、探せなければ無いのと同じです。ラベルと検索キーで整理することで、Gmailを”活動履歴のデータベース”として機能させます。

ラベルは4つに絞る

ラベルを増やせば増やすほど、運用は死にます。最初はこの4つだけで十分です。

「要対応」は自分が次に動くべきメール、「待ち」は相手待ち・社内待ちのメール、「保留」は今は動かないが忘れたくないメール、「共有」はチームで見たい・引き継ぎ対象のメールです。

「要対応」と「待ち」が分かれているだけで、追客漏れは劇的に減ります。「返信しなきゃ」と「相手の返事待ち」が同じ場所にあると、何をすべきか分からなくなるからです。

案件ごとの検索キーを決める

Gmailの強みは検索機能です。案件シートに「この案件はこの検索で追える」という検索キーを保存しておくと、担当が変わっても一瞬で履歴にアクセスできます。

たとえば from:@customer.co.jp subject:(見積 OR 提案) や to:xxx@yourcompany.com (projectX OR 案件名) といった検索クエリを案件シートに記録しておきます。これだけで、引き継ぎ時の「過去のやりとりを探す時間」が大幅に短縮されます。


カレンダー設計:会議後の漏れを防ぐ

追客漏れは会議直後に起きやすい

追客漏れが発生しやすいのは、実は会議の直後です。会議自体は予定通り行われるのに、その後のフォローが曖昧になる。カレンダーとメールが分断されているのが原因です。

会議タイトルに最低限の規則を入れる

会議タイトルが自由記述だと、後で検索できません。たとえば「【会社名】商談_案件名」「【会社名】定例_◯月」「【会社名】導入相談_初回」のように統一するだけで、カレンダー検索が”顧客別の活動履歴検索”として機能するようになります。

会議メモはリンクで残す

議事録を完璧に書く必要はありません。Googleドキュメントに簡単なメモを取って、予定の説明欄にそのリンクを貼るだけで、引き継ぎ可能なログになります。「メモはどこにあるんだっけ?」という問題を、この一手で解決できます。


導入手順:最短で回る7ステップ

Step 1:顧客マスタの”正”を決める

すでにスプレッドシートがある場合は、列を増やす前に「正本はこれ」と宣言します。過去に派生した別ファイルがあるなら、統合しようとするより先に”凍結(編集禁止)”してしまう方が有効です。正本が複数あると、どれを信じていいか分からなくなります。

Step 2:名寄せルールを決めて重複を止血する

名寄せルールの確定を後回しにすると、重複が増殖して回収不能になります。メールアドレス・ドメイン・例外集の3点だけでも先に決めておきましょう。完璧なルールは不要です。まずは「判断に迷ったらこうする」という最低限の基準があればいいのです。

Step 3:Gmailラベル4つを作る

運用を変えるなら、まずはここから始めます。個人レベルの運用でもすぐに効果が出るので、チーム展開の前に自分で試してみるのがおすすめです。

Step 4:案件シートを作り、検索キーを入れる

案件単位で追える状態を作っておくと、スプレッドシートにメールの内容を転記する必要がなくなります。「この案件の履歴はこの検索で見れる」という状態が、引き継ぎ時間の短縮に直結します。

Step 5:会議タイトルを揃える

カレンダーの会議タイトルを統一するだけで、活動の見える化が一気に進みます。すでに入っている過去の予定まで直す必要はありません。今日から新しく作る予定だけ、ルールに従えば十分です。

Step 6:週次の”棚卸し”を10分だけ入れる

週に1回でいいので、「要対応」「待ち」「期限切れ」を見直す時間を固定します。金曜の夕方でも月曜の朝でも構いません。自動化より先に、この習慣が運用の心臓部になります。

Step 7:回り始めてから自動化する

いきなり自動化に手を出すと、例外処理が積み上がって逆に壊れます。まずは手運用で2〜3週間回してみて、「何を自動化すべきか」を見極めてからで十分です。自動化は運用が安定してからの”仕上げ”だと考えてください。


よくある失敗パターンと回避策

スプレッドシートに活動履歴を書き始めて地獄になる

活動履歴は増え続けます。スプレッドシートに全部書こうとすると、シートが重くなり、誰も開かなくなり、結局使われなくなります。メールとカレンダーを原本として維持し、スプレッドシートは「次アクションと判断」だけに絞るのが正解です。

ラベルが増えすぎて誰も使わなくなる

分類は気持ちいいのですが、増やすほど現場は回らなくなります。ラベルを作る楽しさと、運用が続くかどうかは別問題です。まずは4つだけ。どうしても足りない場合は、運用が安定してから追加すればいいのです。

“最新がどれか分からない”が再発する

この問題の原因は、ほぼ確実に「正本が複数ある」ことです。正本の宣言と、更新責任者の設定で止められます。派生ファイルを作らせない(作るなら凍結前提)というルールも有効です。


どこまでいったら専用CRMを検討すべきか

Google Workspaceでの軽量CRMの限界

Google Workspaceでの顧客管理は強力ですが、万能ではありません。次のような状況になったら、専用CRMやSFAの導入を検討するタイミングです。

案件数が増えて、担当変更や権限管理が頻繁に発生するようになった。顧客単位で「誰がいつ何をしたか」を監査レベルで追跡する必要が出てきた。メール以外の接点(電話、チャット、フォーム、広告など)が増えて統合管理が必要になった。レポート(売上予測、パイプライン分析、活動量)が経営判断に直結するようになった——こうした段階に達したら、専用ツールへの移行を真剣に検討すべきです。

逆に言えば、ここに到達していないなら、まずはGoogle Workspaceで運用を整えた方が早いことが多いです。CRMを導入しても、運用設計が曖昧なままでは同じ問題が再発します。


運用が回っているかのチェック指標

気合いではなく、数字で判断する

顧客管理がうまく回っているかどうかは、”気合い”ではなく指標で判断します。

「要対応」ラベルに3日以上滞留しているメールが増えていないか。次アクションの期限切れ件数が可視化されているか。最終接点が一定日数以上前の見込み客がリスト化されているか。担当変更時に、履歴を探すのに時間が溶けていないか——これらをチェックすることで、運用の健全性を客観的に評価できます。


まとめ:最初に作るべきは「入力フォーム」ではなく「抜けない仕組み」

Gmail・カレンダー・スプレッドシートで顧客管理を作るとき、勝ち筋は一貫しています。

スプレッドシートを”全部入り”にしない。Gmailとカレンダーを記録の原本として活かし、スプレッドシートは判断と次アクションの管理に集中させる。入力を頑張るのではなく、入力しなくても記録が残る設計にする。

この考え方で組み立てると、運用が回り始めます。運用が回り始めれば、次に必要な自動化やツール移行も、迷いが減って判断しやすくなります。


まずは今日から、Gmailに4つのラベルを作るところから始めてみてください。それだけでも、追客漏れの感覚が変わるはずです。

ブログ一覧へ戻る