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フリー素材利用の著作権トラブルを避けるための完全ガイド

企業のウェブ制作や広告、SNS運用で「フリー素材」を活用するケースが増えています。しかし、扱いを誤ると著作権トラブルに発展しかねません。本記事では、日本国内の企業経営者・マーケ担当者・法務/知財担当者向けに、フリー素材利用のリスクと対策を網羅的に解説します。具体的な著作権法上の注意点やライセンスの種類、裁判例、チェックリストも交え、安心してフリー素材を活用するための実践的な法務知識を提供します。

フリー素材とは何か?定義と種類

フリー素材とは、一般に著作権者が無料での利用を許諾した素材を指します。ただし「無料」の意味する範囲は様々で、著作権が完全に放棄されたものとは限りません。フリー素材には以下のような種類があります。

  • 画像素材(写真・イラスト)や動画素材:ウェブサイトのデザインや印刷物、動画制作に使われる。
  • 音楽素材(BGMや効果音):動画やイベント等の背景音や効果音に利用。
  • その他:フォントやアイコン、3Dモデル等、デザイン要素全般。

「著作権フリー」という言葉も使われますが、厳密には著作権法上の保護対象外か、著作権が消滅・放棄された素材を意味します。具体例として、以下が挙げられます。

  • 著作権者が権利を放棄した作品 – 作者自身が「自由に使ってよい」と明言し、著作権を事実上放棄した素材。例えば、作者がサイト上で「この作品はご自由にお使いください」と宣言している場合などです。
  • 著作権の保護期間が満了した作品 – 日本では原則として著作者の死後70年で著作権が消滅します。いわゆるパブリックドメインの素材で、歴史的な写真や古典音楽などが該当します。
  • 著作物に該当しない素材 – 著作権法上、創作性が認められないもの(例えば短いフレーズや極めてありふれた表現)、または法律・判決文など著作権法で保護対象外と定められたもの。

上記のような「著作権フリー」素材であれば、利用に際して著作権侵害の問題は起きません。しかし、多くの「フリー素材」サイト上の素材は著作権自体は放棄されておらず一定の条件付きで無料利用が許諾されているケースが大半です。したがって、フリー素材を使う際にも著作権者の定めた条件を十分確認する必要があります。

日本の著作権法におけるリスクと注意点

フリー素材であっても、日本の著作権法の枠組み内で利用しなければ侵害となる可能性があります。以下では、著作権法上の主要なポイントを解説します。

著作権と許諾の必要性

他人の著作物を利用するには、原則として著作権者の許諾が必要です。フリー素材は「著作権者があらかじめ許諾した素材」と言えますが、その許諾範囲はライセンスや利用規約により定められています。許諾範囲を超えた利用(条件違反)は無許諾利用と同じく著作権侵害となります。たとえば、商用利用不可の素材を企業広告に使ったり、クレジット表示が必要な素材で表示を怠った場合は、最初から許諾がないのと同じ扱いになり得ます。

また、「ネットで見つけたからフリーだと思った」は言い訳になりません。実際の裁判でも、フリーサイトから取得した写真でも第三者の著作物である以上、無断で使えば侵害の可能性があるとして、利用者の過失責任を認めた判決があります。「たとえ写真素材がフリーサイトから入手されたものだったとしても被告は責任を免れない」と判断され、企業側に約20万円の損害賠償支払いが命じられた例もあります。

フリー素材だと思って使用した写真が実は有料素材会社の著作物で、損害賠償請求を受けた例もあります。検索で見つかった画像でも、出所不明なものは安易に使ってはいけません。

著作者人格権への配慮

日本の著作権法には、著作財産権とは別に著作者人格権が規定されています。これは著作者の名誉や意思を守るための権利で、公表権・氏名表示権・同一性保持権から成り、著作者本人だけが持ち、譲渡や放棄ができません。フリー素材の利用時にも、この人格権に注意が必要です。

  • 氏名表示権: 著作者が望む場合には名前を表示しなければなりません。フリー素材の中には「クレジット(出典)表示が必要」と定めるものがありますが、これは氏名表示権への配慮です。怠ると権利侵害になり得ます。
  • 同一性保持権: 著作者の意に反して作品を改変されない権利です。日本では著作者人格権は放棄できないため、「著作者人格権を行使しません」と利用規約に書かれていても、著作者が人格権自体を失うわけではありません。そのため、大幅な改変や著作者が不本意に感じるような使い方(例えば侮辱的な加工や文脈での利用)は避けるべきです。必要最低限のトリミングや色調補正など通常想定される範囲であれば問題は起きにくいですが、素材によっては「改変不可」と規定されている場合もあります。

ポイント: フリー素材の中には「商用利用可・クレジット不要・改変可」と非常に自由度の高いものもありますが、それでも公序良俗に反する用途や著作者の意図を大きく逸脱する改変は避けましょう。著作者人格権侵害で訴えられるリスクに加え、企業の社会的信用にも関わります。

「引用」とフリー素材使用の違い

他人の著作物を無断で使えるケースとして著作権法第32条の「引用」規定があります。これを誤解し、「出典さえ書けば画像を自由に使える」と思われがちですが、引用には厳格な要件が課されています。例えば、他人のイラストを自社ブログの記事内で紹介したい場合でも、それが法的な「引用」に当たるかどうか注意が必要です。

引用が認められるための主な条件:

  • 既に公表された著作物であること(未発表作品は不可)。
  • 報道・批評・研究など正当な目的のための必要な範囲であること(引用の必然性)。
  • 自分のコンテンツが主、引用部分が従という主従関係が明確であること。
  • 引用部分が明瞭に区分されていること(カギ括弧や別枠表示などで自他の区別がつくこと)。
  • 引用部分を改変しないこと(原文そのまま使う)。
  • 出所(著作物の出典)を明示すること(著作権法第48条)。

以上を満たす場合に限り、許諾なく他人の著作物を引用できます。企業の宣伝目的で画像や音楽を「引用」と称して利用することは、上記要件をまず満たしえないでしょう。例えば記事の内容と関係なくデザイン上の装飾に他人の写真を使うのは引用の必然性がなく認められませんし、広告動画に有名曲の一節を入れるのも引用の範囲を超えます。引用は主にニュース報道や評論記事で原典を示すために使うものと理解し、通常のビジネス利用では引用規定に頼らず、明示的な利用許諾(ライセンス)に基づいて素材を使用してください。

ライセンス契約の法的位置づけ

フリー素材を利用する際に重要なのが、その素材に付与されたライセンス(利用許諾)契約です。ライセンスとは、著作権者が定める利用条件のことで、いわば「~して良い/はいけない」を示した契約書のようなものです。たとえ無料でも、利用者はライセンス条件を守る義務があります。

  • ライセンスは法的拘束力を持つ: 多くのフリー素材サイトでは、利用者が素材をダウンロードまたは使用した時点で、その利用規約に同意したものとみなす旨が記載されています。これは民法上の契約に該当し、条件に反する使い方をすれば契約違反となります。同時に、契約で許諾されていない使い方をした場合は著作権侵害にも問われ得ます。
  • 条件付き許諾: ライセンス契約では「この条件を守る限り無償で使って良い」との条件付きの許可が与えられています。例えば「非営利目的に限る」「出典表示をする限り改変可」等です。条件を逸脱した時点で許諾は失効し、無許可使用と同じ状態になります。

クリエイティブ・コモンズ ライセンスなどオープンライセンスの場合、著作権者から利用者へのオープンな許諾の申し込みと解釈されます。利用者が定められた条件を守って素材を使うことで黙示的に契約が成立します。クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスは世界的に標準化された契約文書で、日本国内でも有効に機能します。

要するに、フリー素材利用は「タダだから自由に使っていい」ではなく、「契約上許された範囲で無料で使わせてもらっている」という意識が必要です。企業としては各素材の利用規約を確実に把握し、社内でその遵守を徹底する義務があると考えましょう。

フリー素材によくあるライセンス種別とその解釈

フリー素材には様々なライセンス形態がありますが、代表的なものとしてCreative Commons(クリエイティブ・コモンズ)ライセンス各種や、サイト独自の利用規約があります。ここでは主要なライセンス種別とその意味、実務上の注意点を説明します。

Creative Commonsライセンスのアイコン例(CC BY-NC-ND)。「CC BY-NC-ND」は、著作者の表示(BY)を要求し、非営利目的のみ利用可(NC)、改変不可(ND)であることを示します。このようにCCライセンスはアイコンの組み合わせで利用条件が表現されます。

Creative Commonsライセンスの種類

Creative Commons (CC)ライセンスは、著作権者が自らの作品に対して「特定の条件下での利用を事前許可する」ために用意された標準的なライセス体系です。組み合わせによって以下の6種類が存在します(バージョンにより細かな差異あり)。CCライセンスは国際的に通用し、表示もアイコン化されているため直感的に条件が分かります。

  • CC0(CC Zero)
     著作権者が自らの著作物に対するすべての権利を放棄し、事実上パブリックドメインとする宣言です。誰でも自由に利用、改変、商用利用が可能ですが、日本においては著作者人格権(氏名表示権など)は放棄できないため、この点に留意が必要です。
  • CC BY(表示)
     著作権者のクレジット(著作者名など)の表示を条件に、作品の利用、改変、再配布が自由に認められるライセンスです。商用利用も可能であり、最も利用条件が緩やかです。
  • CC BY-SA(表示-継承)
     CC BYの条件に加え、改変によって生じた派生作品についても、元のライセンスまたは互換するライセンスの下で公開することが求められます。公開配布の際に継承義務が生じるため、非公開利用の場合は影響がない点も留意すべき事項です。
  • CC BY-ND(表示-改変禁止)
     著作権者のクレジット表示を条件とし、原作そのままでの利用のみが許可されるライセンスです。たとえ軽微な変更(例:トリミングや色調変更)であっても、基本的には改変が禁止されるため、実務上の利用には注意が必要です。
  • CC BY-NC(表示-非営利)
     著作権者のクレジット表示を行うことに加え、非営利目的でのみ利用が許可されるライセンスです。営利目的での利用、たとえば企業のマーケティング活動には原則として適用されません。
  • CC BY-NC-SAおよびCC BY-NC-ND
     いずれも非営利(NC)の条件に加え、前者は継承(SA)、後者は改変禁止(ND)の条件が追加されたライセンスです。特にCC BY-NC-NDは、商用利用も改変も認められず、最も制約が厳しいため、企業利用には事実上不向きです。

以上のCCライセンスに共通するのは「BY(表示)要件」です。全てのCC作品は著作者名等の表示が必要とされています。なお、CCライセンス作品を利用する際は、作品名・著作者名・ライセンス名(CC BY 4.0など)・該当URLを併記するのが正式なクレジット方法です。ウェブなら素材の近くや巻末に、動画ならエンドロール等に表記するのが望ましいでしょう。

独自の利用規約(サイトごとのライセンス表示)

フリー素材サイト独自の表記として、「商用利用可」「改変可」「クレジット不要」「要連絡」などの条件コンビネーションが提示されることがあります。代表的な表示例と意味は以下の通りです。

  • 「商用利用不可」:営利目的(会社の宣伝や商品サービスに関わる利用)では使用禁止という意味です。企業のウェブサイトや販促物、社内資料であっても業務目的なら商用利用に該当するため注意が必要です。
  • 「改変不可」:画像や音源を一切加工してはいけないという意味です。サイズ変更やトリミング、文字入れも含め禁止されます。必要に応じてデザインを調整したい場合、この条件がある素材は適しません。
  • 「要クレジット(要出典明記)」:著作権者名やサイト名の表示義務があります。媒体により表示方法を工夫する(例:ウェブなら画像のaltテキストやページ末尾に記載)か、クレジット表記が難しい場合はこの条件の素材は避けるべきです。
  • 「利用報告必須」:素材を使用したら著作者に連絡・報告するよう求めるものです。報告自体はメールやフォームで済むことが多いですが、対応漏れのリスクがあるため企業利用では煩雑に感じるかもしれません。
  • 「二次配布禁止」:素材そのものを再公開・再配布する行為は禁止という意味です。他人が素材だけをダウンロードできる状態で自社サイトに掲載するなどはNGですが、通常の利用範囲(コンテンツ内に素材を組み込む)は問題ありません。

これらの条件はサイトによって様々な組み合わせで提示されています。例えば日本で人気のイラスト素材サイト「いらすとや」の場合、個人・法人を問わず商用利用無料だが、1つの制作物につき20点までという点数制限があります(21点以上使う場合は要相談)。また「著作権は放棄していない」ことも明記されています。このように、サイトごとの利用規約を読み解き、自社の利用目的に適合しているか確認することが重要です。

商用利用における法的リスクと判断ポイント

営利企業がフリー素材を使う場合、特に「商用利用可否」の条件に着目する必要があります。「商用利用不可」の素材を使えば契約違反かつ著作権侵害となり、企業として法的責任を問われるリスクがあります。

  • 社内利用も基本は商用と考える: 前述の通り、社内資料やプレゼンでの使用であっても業務目的であれば非営利とはみなされません。ライセンスに「非営利限定(NC)」とある素材は、営利企業の内部利用でも避けるのが無難です。「社内だから大丈夫」は通用しない点に注意してください。
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