GTM戦略と事例マーケティングを活用した効果的なB2B事業グロース戦略
著者情報
株式会社ロゴラボ 代表取締役 野﨑 智裕
ドリーム・アーツではリーテルSaaSの責任者や執行役員マーケティング本部長などを担い、2つの大企業向けSaaSがカテゴリリーダーに。Sales MarkerではインテントセールスSaaS事業においてマーケティング本部長などを歴任。2024年1月にロゴラボ設立。ブランディング・マーケティング領域のSaaS提供を行う。
はじめに
事業を拡大し、市場で高いプレゼンスを確立するためには、的確な市場アプローチと実行力が不可欠です。特に「Go to Market(以下、GTM)戦略」は、製品やサービスを効率よく顧客に届けるための土台となる極めて重要なフレームワークです。一方で、事例マーケティングを組み合わせることで、実績を根拠とした信頼構築や市場浸透をより加速させることができます。
本記事では、GTM戦略と事例マーケティングを軸とした具体的な市場開拓方法や、その実践例をご紹介します。私自身が携わってきた事業の経験を踏まえながら、どのようにGTMを策定し、顧客事例を効果的に活用してきたのかを紐解いていきます。
GTM戦略の基本と市場開拓のステップ
事業の成否を分けるポイントは「何を」「誰に」「どのように届けるか」という明確な打ち出し方にあります。これがまさにGTM戦略の核となる部分です。
GTM戦略の基本的な考え方
- 自社の強みと市場ニーズの一致
自社プロダクトの独自性や優位性を明確にしたうえで、それが最も評価される(あるいは必要とされる)ターゲットセグメントを見極めます。顧客ペルソナや市場調査を綿密に行い、需要が高い顧客層と具体的な課題を把握することが欠かせません。 - 市場ごとのキャズムの理解
新たな市場には、必ずと言っていいほどキャズム(普及が停滞する溝)が存在します。キャズムを越えるための戦略を練り、実行段階で活用可能な実績やデータを積み上げることが求められます。業界特有の課題を具体的に示しながら、自社製品・サービスがその課題をどのように解決できるかを事例化して示すことで、追随者にも安心感を与えられます。
具体的な市場開拓の進め方
まず特定の市場や顧客セグメントで成果を出し、その実績をレバレッジとして別の市場にも展開していく方法は非常に有効です。実際に私が支援していた企業では、ある業界でまず大手企業を中心に受注獲得し、その結果を用いて“信頼できる実績”として別の業界に横展開することで、新市場でもスピーディに地位を確立しました。
- 大手企業からの受注獲得実績
ターゲット業界の上位5社のうち4社に導入を成功させ、その成功体験を積極的に発信することで「大手企業がお墨付きを与えた製品」というポジションを獲得できました。 - マーケットリーダーの実績活用
大手企業の導入事例は、同業界のフォロワー企業に「うちでも導入すれば同様のメリットを享受できる」と思わせる効果があります。これにより、競合との差別化だけでなく、市場への素早い浸透を促進できます。
実績を活用する際は、“導入実績がある”という事実だけでなく、企業規模や導入背景、解決した課題を具体的に示すことが重要です。そこで大きな役割を果たすのが「事例マーケティング」です。
GTM戦略を加速させる「事例マーケティング」の重要性
事例マーケティングは、成功事例を具体化して魅力的に伝えることで、市場へのアピールを強化する手法です。自社製品・サービスの価値が“誰にでもわかる形”で伝わるという強みがあります。
成功事例を「相手にとって最適」な情報に加工する
事例マーケティングを最大化するポイントは、「相手にとって必要な要素だけをピンポイントで得られる」ことです。以下のようなタグ要素を整理しておくと有効です。
- 顧客のフェーズ(導入直前、直後、PJ中、PJ完了、成果創出済みなど)
- 業種/業態
- 企業規模
- 課題や背景、テーマ
- 活用部門
これらのタグを自由に組み合わせながら必要な情報を抽出して事例化することで、読んだ相手が「自分たちにも導入できそうだ」と感じやすくなります。また、網羅性よりも“真似したくなる要素”を意識することがポイントです。

市場のキャズムを越えるための事例活用
特に保守的な業界や新しいテクノロジーが敬遠されがちな領域では、先行企業(イノベーター)が大きな成功を収めた事例はキャズムを飛び越えるための強力な武器になります。
- 投資回収期間や売上増加率などの数値を示す
実証的なデータを盛り込むと説得力が格段に高まります。 - 類似業界・規模の企業が成功したストーリーを提示する
「同じステップを踏めば同様の成果が得られる」というイメージを与え、市場全体への普及を促進します。
事例を活用したグロース戦略と注意点
GTM戦略と事例マーケティングを組み合わせることで、事業拡大のスピードを飛躍的に高めることができます。具体的には、以下のようなアウトプットが効果的です。
- 導入企業ロゴの掲載
ホームページのセクションやランディングページ(LP)、問い合わせフォーム画面などに、ターゲットと同業界・同規模の企業ロゴを配置すると安心感が高まり、コンバージョン率(CVR)が向上します。 - 事例記事・動画・イベント登壇
成功事例をインタビュー記事や動画にまとめ、イベントやウェビナーで担当者が登壇して話す機会をつくると、潜在顧客が具体的な効果をイメージしやすくなります。
一方、導入企業のロゴや実績を公開する際には、必ず許諾を得たうえで正しく管理する必要があります。スタートアップ企業などで、許諾なくロゴを使用してしまい信用を損ねるケースも少なくありません。そのようなトラブルを避けるため、アセット(ロゴや事例コンテンツ)管理の体制づくりが欠かせません。
事例マーケティングを加速するブランド許諾管理SaaS「ロゴラボ」
当社が提供するブランド許諾管理SaaS「ロゴラボ」は、ロゴ画像の受け渡しや掲載許諾の取得をスムーズに行い、厳密に記録・管理できるサービスです。さらに整列ロゴ機能では、許諾を得た企業のロゴを一覧化し、瞬時にLPやパンフレットに反映させられるなど、効率的な事例マーケティングを実現する機能も備えています。
ホリゾンタルサービスであったとしても、例えば業界ごとに特化した広告クリエイティブやLP、ホワイトペーパーなどを用意しているケースも多いと思います。その際にLPに配置する導入実績ロゴは適切にコントロールすることで、訴求メッセージの統一をはかることが可能です。
まとめ
カテゴリリーダーとして市場を牽引し、競合と差別化しながら事業を拡大するためには、GTM戦略と事例マーケティングを連動させることが不可欠です。
適切な市場選定とキャズムを乗り越えるための実績づくり、そして「真似したい」と思わせる事例発信により、顧客からの信頼を獲得し、市場を一気に広げることができます。
もし自社の成長をさらに加速させたい、あるいは実績や事例のコンテンツをより充実させたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
